カテゴリ:取り組み( 2 )

※今回のブログでは、シカの死体の写真が出てきます。
あらかじめご了承の上ご覧ください。

こんにちは!
ライオン班のばんです。
今日のブログはちょっと長め。
ですが、大切なことを書いたので、読んでくれたら嬉しいです。

さて、ライオンたちにシカの骨を与えたブログはもうご覧になりましたか?
(まだの方はこちら↓「ライオンたちとシカの骨」)
http://omutazoo.exblog.jp/26914168/

ライオンたちに骨をあげたのは、害獣として駆除されたヤクシカの命をできる限り有効活用するための「ヤクシカZOOプロジェクト」の一環でしたね。
(ヤクニク屋さん、九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター、科学コミュニケーター 大渕希郷さんとの共同プロジェクト)
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ヤクシカZOOプロジェクトのロゴ

今回はヤクシカZOOプロジェクトの第2弾として、ライオンとトラにヤクシカを「丸ごと」あげるお話です。

動物園のライオンたちは、ほとんどの場合、狩りをすることなく食べやすいサイズの馬肉などのお肉を食べています。
栄養にも気を付けて、ビタミン剤を加えるなどしているため、栄養上の問題はまずありません。

一方、野生のライオンやトラは、獲物を探し、見つけて待ち伏せをし、襲って仕留めます。
その後、皮を剥ぎ、骨から肉を引き離し、ようやく肉にありつけます。
動物の死骸を見つけて、それを食べることもありますが、骨にこびりついた肉を剥ぎながら食べるなど、肉を探して食べることはとても大変で時間がかかります。

動物園では、途方もない時間をかけてハンターとして進化してきたライオンたちの栄養を満たすことはできても、獲物を襲うといった行動の要求を満たすことは難しく、食べやすい肉では食事の時間は一瞬で、刺激が少なすぎます。

当園では少しでもそういった要求が満たせるように、肉を隠したりして食べにくくしています。
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段ボール箱に入った餌を運ぶトラのホワイティ。

それでも、動物園で手に入る肉の種類やサイズは限られているため、本来の食事に少しでも近づけられるように、より大きくほとんど加工されていない安全な肉を探していました。

そんな中、様々なご縁でヤクシカZOOプロジェクトが立ち上がり、ヤクシカを丸ごと入手することができました!
こちらがそのヤクシカ。
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重さ約8キロのヤクシカです。
小型なので、ライオンたちの餌の量を調整しやすいというメリットもあります。

徹底的に衛生管理されたヤクニク屋さんのシカですが、皮つきでしかも生で与えるため、動物への感染症のリスクを減らすために、頭と内臓は除きしばらく冷凍させました(人が野生動物の肉を食べるときは、プロの指導に従い十分な加熱が必要です)。

視察に来ていたヤクニク屋さんの田川さんと九州大学の細谷先生、そして一般の来園者が見守る中、シカを丸ごと与える理由を説明した後、ライオンのアサヒとトラのホワイティにあげました。
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驚くことなく、勢いよくヤクシカのもとへ(ライオンのアサヒ)!

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興奮した様子でくわえたままウロウロ(トラのホワイティ)。
大きな獲物を加えて運ぶことは、顎や首の筋肉を鍛えることに繋がります。

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運んでは舐めるばかりで中々食べません。
初めてのことで食べ方がわからない?

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プールに運んで遊びだす・・・

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トラのホワイティは40分後に食べだしました。

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ライオンのアサヒは1時間半後にようやく食べだしました。

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食後のグルーミング。
いつもより念入りにしているようでした。

そんなライオンたちの姿を見ていた来園者の方々の反応は様々。
「すごい!」
「楽しそう!」
「なかなか食べないね。」

他にも、
「(シカが)かわいそう…。」
かわいそうという声は案外と少なく、説明を聞くとほとんどの方が納得されているようでした。

中には、かわいそうと言う小さな女の子に、
「〇〇ちゃんが大好きなお肉も、本当はこういう形をしているんだよ。誰かが切ってくれているんだよ。残さず食べようね。」
と優しく話しかけるお父さんの姿も。

私たちは一般の方々がどんな印象を受けるのかをとても気にしていましたが、ご理解いただける方が多く、このプロジェクトの手ごたえを感じました。
動物園でライオンたちに与えることで、害獣として駆除されたヤクシカの新たな利用、特に食用にあまり向かない小型のヤクシカの利用が期待できます。

今後もこのヤクシカZOOプロジェクトを通して、環境エンリッチメント(*)に対する理解を促したり、動物園が身近な野生動物との関係を考える場としての機能を発揮したりしていければと考えています。

ちなみに…、その後ライオンたちに与えたヤクシカはどうなったかというと、翌日にはトラのホワイティでは肢の先がちょこっとだけ、ライオンのアサヒに至っては一頭すべて食べてしまったようです(骨までしっかりと消化しました)!
初めての体験、とても良い刺激になったようです。

ライオン班 ばん


・ヤクニク屋さん ホームぺージ
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・ヤクニク屋さん FaceBook
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・九州大学決断科学プログラム ホームページ
http://ketsudan.kyushu-u.ac.jp/

・九州大学決断科学プログラム FaceBook
https://ja-jp.facebook.com/ketsudankagaku?fref=ts

・科学コミュニケータ― 大渕希郷さん ホームページ
http://www.sky.sannet.ne.jp/masato-oh/

※ 環境エンリッチメント 
飼育されている動物が心身ともによりよく生活できるように環境を豊かにするための工夫。

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by omutazoo | 2017-09-07 17:59 | 取り組み | Trackback | Comments(1)

ライオンたちとシカの骨

こんにちは!
ライオン班のばんです。
さて、今日はライオンたちに与えている骨のお話。

どーん!
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これは屋久島から送ってもらったヤクシカの骨。

ヤクシカは屋久島だけに住む小型のシカで、大牟田周辺に生息しているシカ、キュウシュウジカに近い種類です(亜種と言います)。
屋久島では固有植物の減少や農業被害などから、ヤクシカの駆除が行われています。
駆除したヤクシカはおいしいお肉としても流通していますが、その利用は一部に限られています。
そこで、駆除されたヤクシカを動物園で活用できないか?ということで、屋久島で唯一の鹿の処理場であるヤクニク屋さんから、ヤクシカの骨をサンプルとしていただきました。
さて、気になるライオンたちの反応は…?

オスのライオン、あさひ
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「バキッ!ポリッ!」と丸ごと完食!

メスのライオン、リラ
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「ガジガジ」と前肢も使って器用に骨の表面に付いた肉を削ぐ。

メスのトラ、ホワイティ
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咥えたまま移動して…
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「ジャリジャリ」舐めたり齧ったり。

オスのキツネ、わらび
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「クンクン、ペロッ」と舐めはしたもののそれ以上は近寄らず。

ライオンたちの反応は実に様々。
骨を与えることには環境エンリッチメント(※)として様々なメリットがあります。
・齧ることで顎が鍛えられる。
・齧ることで歯がきれいになる。
・舐めとるなど、食べるための本来の行動を引き出す。
・時間をかけて食べることで充実した時間が増える。
・匂いなどの新しい刺激が加わる。
などなど。

これからも駆除されたヤクシカの命をできるだけ有効活用するために、動物園での可能性を探っていきます。
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このプロジェクトはヤクニク屋さん、九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター、科学コミュニケーター 大渕希郷さんとの共同で「ヤクシカZOOプロジェクト」として進めて行きます(ロゴマークも素敵でしょ?)。
今後の展開にご期待ください!

ライオン班 ばん

※ 環境エンリッチメント 
飼育されている動物が心身ともによりよく生活できるように環境を豊かにするための工夫。

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by omutazoo | 2017-08-20 17:43 | 取り組み | Trackback | Comments(0)

動物園のスタッフ達の日常をあれやこれや、、、


by omutazoo