2020年 05月 10日
マンドリルのガブ
5月4日にマンドリルのガブ(雄/19歳)が死亡しました。
突然のことだったので驚かれた方も多いと思います。
今回のブログでは、体調を崩した日の様子、死因、
ガブとの思い出を綴りたいと思います。
まずは、死亡するまでの経緯をお話しします。
5月3日の朝は動きも良く、給餌した食べ物はほぼ完食で、
いつもと変わらない様子でした。
しかし午後1時30分頃、いつもなら飼育員が近寄ると大きな声で
鳴き声をあげるガブがとても静かだったため、異変を感じました。
試しに食べ物を見せても受け取りません。
午後2時、寝室で横になって休むようになりました。明らかに元気がありません。
薬を混ぜた手作りのバナナジュースを作って飲んでもらおうと試みましたが
寄ってきてくれませんでした。
意識はしっかりしており、時折体を起こして場所を移動する様子も見られたため、
獣医と相談しこの日は様子を見ることにしました。
そして、翌日5月4日の朝、寝室で死亡しているのを確認しました。
解剖の結果、死因は腹膜炎であることが分かりました。
さらに後日、研究機関で精査を進めてもらいましたところ、
急性胃拡張症候群を併発していたことがわかりました。
発症の原因は不明ですが、健康な体であっても一度発症すると
急性の経過をたどり、嘔吐・誤嚥を起こして亡くなることがあります。
これまで大きな健康上の問題のなかったガブだったのに、
突然の別れとなってしまいました。
ガブは、たくましい体格に、マンドリルの雄の特徴である色鮮やかな
顔やお尻の模様で、お客さまにも人気者でした。
奥さんのリルとの相性はとてもよく、2頭の間には5頭の子どもが生まれ、
国内におけるマンドリルの繁殖にも大きく貢献してくれました。
そして、ガブは国内で初めてハズバンダリートレーニングによる
採血に成功したマンドリルでもあります。
飼育員の拙いトレーニングでも、ガブはとても協力的で、
始めてから4か月後には採血に成功することができました。
4年前に一度だけ体調を崩した時も、具合が悪い中でも採血に協力して
くれたおかげで、原因が分かりすぐに治療をすることができました。
血液検査などのデータが少ない動物園動物のなかでも、特にマンドリルの
情報は乏しく、ガブが残してくれた沢山の血液検査データは、
今後の飼育下マンドリルの健康管理や研究に大きく役立つことでしょう。
ガブと、そして同僚たちと確立したこの採血手法は、その後リルでも成功し
現在は娘のルル、そして種を超えてフサオマキザルのジュウゴロウも
採血に向けて頑張ってくれています。
また、ほかの園館でもガブの採血手法を用いたトレーニングが行われています。
私たち飼育員をはじめ多くのお客さまを魅了し、たくさんの思い出をくれた
ガブにとても感謝しています。
ガブの死亡については、先に園の公式ホームページと公式Facebookで
報告をさせていただきましたが、とても多くの反応があり、
ガブが皆さまに愛されていたことを改めて感じました。
ガブを可愛がってくださり、本当にありがとうございました。
えざき・きむら
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〇マンドリル
霊長目オナガザル科
分布:アフリカ中央部のカメルーン、ギニア、ガボン、コンゴにかけての熱帯雨林
形態:体重は雄が 20~30kg、雌が 10~15kg。体長は雄が 70~90 ㎝、雌が 50~65 ㎝。
成獣の雄は長くて大きな赤い鼻梁を持ち、その両側の隆起して溝のある
部位は青く、お尻も青紫~赤色と鮮やかな配色をしている。
雌は雄の半分 ほどの大きさで、配色も地味である。
生態:熱帯雨林の奥地で広い行動範囲を持つため、野生での生態は不明な点が多い。
一夫多妻もしくは複雄複雌の群れで暮らし、昼行性で日中は森林の地上が 主な生活場所で、
夜間は外敵を避けて樹上で眠る。雑食性で主食は果実。 性成熟は雄が 5 歳、雌が 4 歳。
飼育下での寿命は 25~30 年。
(2019年マンドリル国内血統登録台帳より)
by omutazoo
| 2020-05-10 14:31
| 動物






