2022年 03月 20日
高齢動物への取り組み
3月に入り、ぽかぽかと日差しが暖かい日が続いていますね。みなさんいかがお過ごしでしょうか?
暖かい日中は、園内の動物たちが日向ぼっこをしているところをよく見かけるようになりました。
また、春を告げるウグイスの鳴き声が聞こえてきたり、メジロの姿も観察することができます。
さて今回は、トラのホワイティとヤギのビーンズについてのお話です。
まずはホワイティですが、展示場が少し変わりました。
最近ご来園くださった方の中には、お気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、展示場の大きなプールを埋めました!!
ホワイティは高齢で足腰が弱くなっているため、歩く時にふらつく様子がよく見られます。
そこで担当者間で、今後ホワイティに想定されることを話し合い、プールの近くでふらついて転落してしまう危険を考慮し、プールを埋めることに決めました。
ホワイティは、夏の暑い日にプールで水浴びをするのが好きです。
昨年の夏には、すでにふらつきが確認されていたため、新たに、ホワイティが入れる大きさのトロ舟に、満タンに水を張って置いていました。
トロ舟は水深が浅いため、プールに比べ、溺れる危険性は低くなります。
設置から数日後、ホワイティがトロ舟の中に入っていました。
トロ舟の使用が確認できたため、プールを埋めても、トロ舟で水浴びをすることが可能だと判断しました。
次に、展示場を埋める様子を、と書きたいところですが、作業に集中してしまい、作業風景を全く写真に撮っていませんでした。
方法としては、プールの中にブロック、土嚢、板、土嚢を入れ、プールを埋めました。
最後に土を入れて、完成です。
ひとつひとつが非常に重く、まだ少し肌寒い時期に実施したものの、みんな汗だくになっていました。
その他に、寝室から展示場に出入りするところが階段になっており、今後上り下りが大変になることを想定されるため、土を盛ってスロープを作りました。
しっかりと砂を固めて、安全を確認した上で、ホワイティに展示場に出てもらいました。
長年使用してきたプールが無くて驚いたり戸惑うのか?!と、ちょっとだけ不安でしたが、
結果は
特に気にする様子はなく、プールがあった場所も普通に通っていました。
これからもホワイティがのびのびと展示場内を歩いたり、横になって休むことができるよう、さまざまな取り組みを行っていきたいと思います。
続いて、高齢のヤギのビーンズのお話です。
ビーンズはごはんが大好きなので、ヒツジのプチシュークリームと一緒に、今か今かとごはんを待っている姿をよく見かけます。
そんなビーンズは、老化によって足の関節の軟骨が擦り減って炎症が起き、足が変形してしまう「変形性関節症」を患っています。
そのため、歩行の補助と症状の進行を少しでも遅らせることを目的に「装具」を使用しています。
「装具」は、大牟田市内にある帝京大学理学療法学科の先生方に作製していただいており、約1年間使用しています。
症状の進行により足が変形することで、少しずつ装具が合わなくなってきます。
その度に、先生方に定期的に足の状態を診ていただき、装具の変更などを行っています。
今回の新作がこちら!
柔らかく馴染みやすい革で作られており、マジックテープでしっかりと固定することができます。
特に負担がかかっている右の前足に巻くことで、少しでも負担を減らして歩きやすくすることを目的としています。
足にフィットする装具を作製する際には、採寸や型取りが重要です。
今回は、ヒトの足形を取る時に使用されるもので挟み、関節付近の型を取りました。
今までは関節付近の周径を数か所計測し型紙を作るなど、様々な方法を用いていましたが、どれも時間がかかるため、ビーンズに負担がかかってしまっている恐れがありました。
しかし、今回の方法であれば数十秒で型取りができるので、ビーンズへのストレスも軽減されているのではと思います。
ビーンズの足のレプリカがこちら!
このレプリカに合わせて、今回の装具が作製されました。
今回のこの新たな型取り法や、装具の新調は、帝京大学の先生方にご提案頂いたものです。
ビーンズのために、ヒトの理学療法の技術を活用してくださっております。
この場を借りて、改めまして心よりお礼を申し上げます。
これからも担当者一同、高齢のホワイティとビーンズの状況に合わせた様々な事に取り組んでいきます。
3月19日(土)から 4月 5日(火)までは、春休み期間のため、高校生以下の方と65歳以上の方は、無料でご入園頂けます。
これから暖かい日が続くと、桜も咲き始めます。
ぜひ春の大牟田市動物園に、お越しください。
飼育員 こが
by omutazoo
| 2022-03-20 15:13
| 取り組み