2022年 06月 12日
ありがとう ホワイティ
5月31日の朝、トラのホワイティが死亡しました。21歳でした。
慢性腎不全を患っており、3月頃からは白内障の進行がみられていました。
解剖の結果、死亡に直結する特に大きな要因は見受けられなかったため、死因は老衰と判断しました。
亡くなった当日の朝、いつも通りトラ舎に入りホワイティを確認したところ、いつもと変わらない場所でいつもと同じように横になっていました。
最初は寝ているのかと思い呼び掛けてみましたが、反応が無かったため、獣医師の立ち合いのもと死亡を確認しました。
訃報のお知らせには、数多くのコメントやリアクションを頂きました。
翌日よりホワイティが過ごしたトラ舎前に献花台を設置したところ、毎日たくさんのお花やメッセージを頂いております。遠方からご郵送くださったお花も献花台に置いています。
ホワイティがたくさんの方に愛されていたということを、強く感じております。
本当にありがとうございます。
この数か月のホワイティの様子を振り返ってみたいと思います。
4月の初旬から食欲不振となり、何も口にしない日が長く続きました。
ごはんの形状をミンチやスープ状にしたり、種類をたくさん用意したり
水は飲んでいたため水の中に薬を混ぜてみたり工夫したところ、4月下旬に少しずつ食欲が戻ってきました。
ホワイティが高齢であることから、もしものことを考えた話し合いを、この頃から担当者と獣医師で頻繁に行うようになりました。
5月の初旬に、ごはんは少しずつ食べるようになったものの、腰のあたりが痩せているのが目立ってきました。
また以前と比べると後ろ足を引きずる様子が頻繁に見られるようになり、時折ふらついて倒れそうになることがありました。
ホームページ等でもお知らせをしたように、5月中旬より寝室での生活に切り替えました。
寝室での生活を始めた頃、閉じ込められたことによるストレスがあるのではないかと私たちは心配しました。
しかし展示場へと続く扉を叩いたりするなどのストレスを感じさせる行動は見られなかった他、私たちへの警戒や威嚇を示したり、逃げたりするといった行動もなく、ピンセットで差し出したお肉を食べてくれていました。
訃報を出した際の飼育員のコメントにも書かせていただきましたが、亡くなる前日の夕方まで大好きな枝葉を噛みちぎる様子が見られました。
また身体を預けられるようにと入れた特大麻袋を、興味深々に匂いを嗅いだり、噛んで動かすような様子も見られました。
寝室でも過ごしたい場所を選べるようにと、Amazon欲しいものリストから頂いたウッドチップも敷きました。
怖がることなくすぐに上に乗って休む姿も見せてくれました。
寝室には行動観察用のカメラが設置されており、24時間撮影した動画を見ると、毎日数時間おきに座りなおしたり立ち上がる様子も見られました。
ホワイティと過ごした最後の 3ヶ月は、これまで以上に非常に濃い毎日でした。
動物の症状や日々の様子は個体によって全く異なるため、私たちにとって初めてのことも多くありました。
その中でホワイティが少しでも苦痛を感じたりしないよう、寄り添っていきたいと思いました。
ホワイティの負担となるような積極的な治療は行わず、ホワイティが過ごしやすい環境を作りながら、見守ることにしました。
今回ホワイティが教えてくれたことは、今後の大型ネコ科動物の飼育だけではなく、たくさんの動物たちの飼育に活かしていきたいと思います。
今までホワイティに会いに来てくださった皆様、ホワイティのために募金やAmazon欲しいものリストなど様々な形でにご協力頂きました皆様に、心よりお祈り申し上げます。ありがとうございました。
最後に、ホワイティへ。
いつかお別れが来るとわかっていたのに、最期の姿も見たのに、たくさんの方々からお花を頂いたのに、今でも生きてるんじゃないかと思ってしまいます。
きっとこう思うのは、たくさんの方々の心の中で、今でもホワイティが生き続けているからなのではと思います。
このブログを書きながらも、涙がこぼれます。
悲しいというより、寂しいです。
今まで健康チェックのための採血や体重測定などのハズバンダリートレーニングをはじめ、慢性腎不全の治療のために薬入りのごはんを食べてくれたり、たくさんのことに協力をしてくれてありがとう。
そして、いろんな姿を見せてくれてありがとう。
たくさんの感謝の気持ちでいっぱいです。
天国でゆっくり休んでね。
たまには大牟田市動物園のことを見守ってくれてたら嬉しいなあ…。
本当に本当に今までありがとう。お疲れ様でした。
担当者・獣医師一同
by omutazoo
| 2022-06-12 09:33
| 動物