2023年 07月 06日
ライオンのあさひについて
今回のブログは、ライオンのあさひについてです。
注:排泄物の写真が含まれています。ご自身の判断でご覧ください。
6月中旬頃、体調不良の為、あさひの展示を中止することがありました。
SNSでお知らせをしたところ、たくさんのコメントを頂きました。
あさひのことを心配してくださった皆様、ありがとうございました。
ご報告が遅くなりましたが、あさひの体調について、詳しくお伝えしたいと思います。
しかし20日には、いつもより時間はかかりましたが、朝ごはんの鶏肉を完食し、排泄も確認出来ました。
ただ、普段はすぐに完食するので、体調が完全に戻ったわけではないと判断しました。
そのため、21日に食欲減退の原因を明らかにするため、麻酔をかけて検査を実施しました。
検査の結果、腸内に毛が溜まっている毛球症(※1)であることが疑われました。
毛のせいで腸の動きが悪くなったために、食欲が減退していたと考えられます。
また、血液検査により腎臓の数値の上昇が認められた他、尿検査により尿蛋白が検出されたことから、腎機能の低下の可能性がありました。
そのため、毛球の排泄を促す薬の投薬と点滴の処置を行いました。
麻酔から目覚めるまで、時間がかかりましたが、最後にはしっかり顔を上げる様子が確認出来ました。
翌日から少しずつごはんを食べるようになり、薬を入れたごはんも食べてくれました。
24日の排泄物の中には大量の毛が混ざっており、詰まっていた毛が体外に出たことが確認出来ました。
その後、29日に再度血液検査を行ったところ、腎臓の数値は、平常時の値に戻っていました。
このことから、腎臓の数値が悪くなっていたのは、ごはんが食べれていなかったこと、そして水分がしっかり摂れていなかったことによる、一時的なものだと考えられます。
あさひは毎年この時期になると抜け毛の量が多くなるため、毛づくろいをした毛が、お腹に溜まらないように、予防として、オオバコの粉入りの鶏肉スープを飲んでもらっていました。
これには、ふたつの理由があります。
オオバコの粉には食物繊維が多く含まれているため、毛球症を予防することができます。
また、鶏肉スープを飲んでもらうことで、飲水量を増やすことができます。
しかし今回、スープの残量が多くなっていたため、6月 7日頃からオオバコを中止し、鶏肉スープのみをあげていました(オオバコが入っている時と比べ、入っていない時の方がたくさん飲んでくれます)。
また、ごはんを食べなくなった前日の16日の夕方に、あさひの展示場に羊毛を入れていました(※2)。
これまでも、あさひの展示場に羊毛を入れたことは何度もありましたが、問題が起こったことはありませんでした。
入れた直後には、あまり反応を示していなかったあさひですが、夜間に羊毛を食べていたようです。
羊毛は多少であれば飲み込んでも問題はないと思われますが、今の時期はあさひの抜け毛が多いこと、オオバコを中止していたこと、羊毛をあげたタイミングなどが重なり、よりお腹に毛が溜まりやすかったのではないかと思われます。
他の毛球症予防を行わずにオオバコを中止し、さらに羊毛を入れたことが、今回の食欲不振の引き金になったものと考えます。
今後は、毛球症予防をしっかりと行い、あさひの状態をよく観察し、導入するタイミングを見極めたいと思います。
現在のあさひは、食欲が戻り、ごはんも完食しています。
毛球症予防として、オオバコの粉ではなく、流動パラフィンとワセリンを混ぜたものを、切り込みを入れた肉の中に入れて、手渡しであげています。手渡しをすることにより、確実に予防ができていることを確認しています。また、少しずつ体調も戻ってきているようです。
今後もあさひが健康に暮らしていけるよう、努めたいと思います。
是非みなさま、あさひに会いにいらしてください。
ライオン担当一同
※1 飲み込んだ毛がうまく排泄されずに胃や腸の中にとどまってしまう病気。
※2 当園では、動物の視覚や嗅覚などの五感を刺激することを目的として、動物の毛を使用することがあります。
by omutazoo
| 2023-07-06 10:11
| 動物