人気ブログランキング | 話題のタグを見る
今回のブログは、ライオンのあさひについてです。
注:排泄物の写真が含まれています。ご自身の判断でご覧ください。

6月中旬頃、体調不良の為、あさひの展示を中止することがありました。
SNSでお知らせをしたところ、たくさんのコメントを頂きました。
あさひのことを心配してくださった皆様、ありがとうございました。

ご報告が遅くなりましたが、あさひの体調について、詳しくお伝えしたいと思います。
6月17日の夕方からごはんを残すようになり、18日、19日も全く食べない日が続きました。
ライオンのあさひについて_c0290504_13542031.jpg
その頃のあさひ

しかし20日には、いつもより時間はかかりましたが、朝ごはんの鶏肉を完食し、排泄も確認出来ました。
ただ、普段はすぐに完食するので、体調が完全に戻ったわけではないと判断しました。
そのため、21日に食欲減退の原因を明らかにするため、麻酔をかけて検査を実施しました。

ライオンのあさひについて_c0290504_13543402.jpg
エコー検査の様子

ライオンのあさひについて_c0290504_13543755.jpg
レントゲン写真


検査の結果、腸内に毛が溜まっている毛球症(※1)であることが疑われました。
毛のせいで腸の動きが悪くなったために、食欲が減退していたと考えられます。
また、血液検査により腎臓の数値の上昇が認められた他、尿検査により尿蛋白が検出されたことから、腎機能の低下の可能性がありました。
そのため、毛球の排泄を促す薬の投薬と点滴の処置を行いました。
麻酔から目覚めるまで、時間がかかりましたが、最後にはしっかり顔を上げる様子が確認出来ました。
ライオンのあさひについて_c0290504_13544700.jpg
麻酔から覚めたばかりのあさひ


翌日から少しずつごはんを食べるようになり、薬を入れたごはんも食べてくれました。
24日の排泄物の中には大量の毛が混ざっており、詰まっていた毛が体外に出たことが確認出来ました。
ライオンのあさひについて_c0290504_13545201.jpg

毛が混ざった排泄物


その後、29日に再度血液検査を行ったところ、腎臓の数値は、平常時の値に戻っていました。
このことから、腎臓の数値が悪くなっていたのは、ごはんが食べれていなかったこと、そして水分がしっかり摂れていなかったことによる、一時的なものだと考えられます。

あさひは毎年この時期になると抜け毛の量が多くなるため、毛づくろいをした毛が、お腹に溜まらないように、予防として、オオバコの粉入りの鶏肉スープを飲んでもらっていました。
これには、ふたつの理由があります。
オオバコの粉には食物繊維が多く含まれているため、毛球症を予防することができます。
また、鶏肉スープを飲んでもらうことで、飲水量を増やすことができます。
しかし今回、スープの残量が多くなっていたため、6月 7日頃からオオバコを中止し、鶏肉スープのみをあげていました(オオバコが入っている時と比べ、入っていない時の方がたくさん飲んでくれます)。

また、ごはんを食べなくなった前日の16日の夕方に、あさひの展示場に羊毛を入れていました(※2)。
これまでも、あさひの展示場に羊毛を入れたことは何度もありましたが、問題が起こったことはありませんでした。
入れた直後には、あまり反応を示していなかったあさひですが、夜間に羊毛を食べていたようです。
羊毛は多少であれば飲み込んでも問題はないと思われますが、今の時期はあさひの抜け毛が多いこと、オオバコを中止していたこと、羊毛をあげたタイミングなどが重なり、よりお腹に毛が溜まりやすかったのではないかと思われます。

他の毛球症予防を行わずにオオバコを中止し、さらに羊毛を入れたことが、今回の食欲不振の引き金になったものと考えます。
今後は、毛球症予防をしっかりと行い、あさひの状態をよく観察し、導入するタイミングを見極めたいと思います。



現在のあさひは、食欲が戻り、ごはんも完食しています。
毛球症予防として、オオバコの粉ではなく、流動パラフィンとワセリンを混ぜたものを、切り込みを入れた肉の中に入れて、手渡しであげています。手渡しをすることにより、確実に予防ができていることを確認しています。また、少しずつ体調も戻ってきているようです。

ライオンのあさひについて_c0290504_13545629.jpg
ライオンのあさひについて_c0290504_13545953.jpg

今後もあさひが健康に暮らしていけるよう、努めたいと思います。
是非みなさま、あさひに会いにいらしてください。


ライオン担当一同


※1 飲み込んだ毛がうまく排泄されずに胃や腸の中にとどまってしまう病気。
※2 当園では、動物の視覚や嗅覚などの五感を刺激することを目的として、動物の毛を使用することがあります。






# by omutazoo | 2023-07-06 10:11 | 動物
今回のブログは、アムールヒョウのポンについてです。
注:手術中の写真や糞の写真が含まれています。予めご了承ください。

ポンは現在、展示を中止しています。
ゴールデンウィーク中、ポンに会えなかった皆様、大変申し訳ございませんでした。
また、ポンのことを心配してくださり、ありがとうございます。

ここ数日のポンの体調について、詳しくお伝えしたいと思います。
4月23日に食欲が低下し、ごはんの食いつきが悪くなっていました。
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08432762.jpg
4月23日のポンの様子


翌日には、少しずつ食欲が戻り、ごはんも完食していました。
また、4月28日に行った血液検査では、大きな異常はありませんでした。

しかし、4月30日から再び食欲が低下し、全くごはんを食べない日が2日間続きました。
5月2日も食欲は戻らないままだったことから、原因を明らかにするため、5月3日に麻酔をかけて検査を実施しました。

レントゲン検査とエコー検査の結果、腸管の一部が不自然に拡張していることが分かり、異物による腸管閉塞が疑われました。
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08461812.jpg
腹部のレントゲン写真


高齢のポンにとって手術は負担になりますが、直接異物を取り出すことが最善の方法と考え、開腹手術を実施することになりました。
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08483236.jpg
十二指腸に異物が詰まっている様子


腸管閉塞の原因となっていたのは、誤飲したおもちゃのかけらでした。
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08472462.jpg
取り出したおもちゃのかけら

異物のせいで腸の動きが悪くなっていたようで、糞も詰まっていましたが、全て取り出すことが出来ました。
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08501543.jpg
結腸に糞が詰まっている様子


アムールヒョウのポンについて_c0290504_08515737.jpg
取り出した糞


麻酔をかけてから手術が終わるまで約4時間かかり、ポンには大変な思いをさせてしまいました。
術後は、麻酔から覚めて顔を上げ、ふらつきつつも四肢で歩く様子が確認出来ました。
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08531282.jpg
麻酔から覚めたポン


翌日からはごはんも食べてくれるようになり、ひとまず安心しているところです。



当園では、動物の採食時間を延ばしたり、退屈な時間を減らしたりすることを目的として、フィーダー(ごはんを入れる容器)やおもちゃなどの人工物を使用することがあります。
ポンにも、ダンボールの中にごはんを入れたり、ロープなどのおもちゃを展示場に入れたりしていました。こうしたものを使用する際には、動物がちゃんとごはんを食べれているか、人工物を誤って飲み込んでいないか、怪我を負っていないか等、しっかりと観察および確認をすることが大切です。

今回腸に詰まっていたと思われるおもちゃは、最後に展示場に入れた日が、1月14日でした。約3か月半もの間、ポンのお腹の中に入っていたということになります。
本件は、担当者の観察・確認不足により起きてしまったことです。
ポンに数日間食欲不振になるくらい気持ち悪い状態にさせてしまったことや、負担の大きい手術をし、痛い思いをさせてしまったことを、本当に申し訳なく思っています。
大変申し訳ございませんでした。心よりお詫びを申し上げます。

しっかりと反省をすると共に、再発防止に向けて対策を講じて参ります。
誤飲の可能性のある素材や質のものを使わないようにするなど、使用するおもちゃ等を限定するように致します。
また、何度か使用してもらって問題がなかったとしても、今後問題が発生する可能性を考え、ビデオ撮影等による行動観察で、これまで以上にポンの状態を把握していきます。
さらに、これまでにも行っていた通り、おもちゃ等の破損があった場合には、すべての破片を回収し、誤飲がないかを確実に調べます。
また、人工物を使用している他の動物の安全性についても、今一度確認を致します。


現在のポンにつきましては、FacebookやYouTubeでのご報告の通り、食欲が回復し、毎日しっかりごはんを食べてくれています。
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08551507.jpg
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08552164.jpg

また、高いところに登るなどの動きも見られるようになりました。
アムールヒョウのポンについて_c0290504_08544195.jpg

ポンの展示再開につきましては、休園日明けの9日(火)を予定しております。
なお、ポンの体調によっては、展示を中止する可能性もございます。予め、ご了承ください。


担当:のだ

# by omutazoo | 2023-05-07 10:55 | 動物

大牟田市動物園のスタッフが、日々のさまざまなことをお伝えします!


by omutazoo