みなさん、こんにちは。獣医師のにしむらです。
前回は血液検査のお話をしたので、今回も検査シリーズということで、超音波検査についてお話ししようと思います。
超音波検査はその名の通り、超音波(=人には聞こえない高周波の音)を用いて、お腹の中の臓器を調べる検査です。
お腹にあてる部分をプローブと呼びます。ここから超音波が出ます。用途に合わせた色々な形のプローブがあります。
プローブを体にあてて超音波を発すると、体内の臓器に当たった反射波が、プローブに戻ってきます。この反射波が解析され、体の中を映した画像として画面に表示されるのです。
これは、イルカのエコーロケーションや漁船の魚群探知機と同じ原理です。
超音波を発し、対象物に当たって戻ってきた超音波をキャッチすることで、色々なものを「見て」いるのです。
当園において超音波検査機器の出番が一番多いのは、モルモットの健康診断や診察です。
鮮明な画像を見るためには、プローブが皮膚に密着している必要があるため、毛刈りをした上で、アルコールやエコーゼリーで濡らしてから、プローブを当てます。
基本的に、尿や血液などの液体は黒色、臓器は様々な段階の灰色、結石などは白色に映ります。
このモルモットは、外陰部からの出血を繰り返していたため、膀胱もしくは子宮卵巣の病気を疑って検査を実施しました。
この個体の場合は、子宮に腫瘍がはっきりと映っていました(中央の部分が全て腫瘍です)。
画像はプリントして保存しておくことも可能です。ちなみにこれは腎臓の写真です。腎臓の構造が良く分かります。
超音波検査は、体内の臓器の様子を調べる際に実施しますが、どのようにプローブを当てるか、映っている画像をどのように判断するかといった点で、検査者の技量に大きく左右される検査でもあります。
これから更に画像診断を学び、動物たちの健康管理に役立てていきたいと思います。
獣医師 にしむら